超硬合金の製造方法

    

超硬合金とは

超硬合金(Hard metals、Cemented Carbide)とは、周期表の4,5,6 族の9種類の金属であるチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、 ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブテン(Mo)、タングステン(W)の炭化物1種か2種以上を 鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などの鉄系金属で焼結した人工的に作る非常に硬い合金の総称です。

セラミックスに次ぐ硬度を誇り、重量は鉄の約2倍で金とほぼ同等です。その硬さから工具鋼に比べ、曲げ強度が十分に保てない、密度が高く体積換算での使用につながるなど制限があります。金型用途では補助的な役割が多いですが、特に高温時の硬度低下に強く、また弾性に優れ摩耗しにくいこと、長寿命な点から、切削工具はもちろん、精密部品など耐久性を求められる分野で使用されています。

超硬合金の用途

超硬合金はダイヤモンドに近い硬度の特徴から、主にドリルやエンドミルなどの、耐摩耗、耐衝撃用の切削工具として、自動車や航空機の製造現場で多く使用されています。他にも土木事業のシールドマシンをはじめとする掘削刃や岩盤穿孔での利用、さらにリサイクル工程では粉砕、破砕刃に超硬合金は使用されています。身近なところでは、医療機器やさまざまな分野の電子部品の金型でも使われるなど、超硬合金は社会インフラや私達の生活空間まで、あらゆる場所に浸透しています。

ダイス・プラグ

線材、棒、パイプなどを引き抜きで作る工具がダイス・プラグです。超硬合金製のダイスはミクロン穴径まで対応します。

スローアウェイチップ

切削工具に使われるチップのスローアウェイチップは、削る材料より硬いことが必須なため、超硬合金が高く評価されています。

切削工具

切削工具は削る母材に対して材質をより使い分ける必要があります。超硬合金の切削工具は幅広いバリエーション展開が可能です。

刃物

鋼板、フィルム、箔など様々な材料の切断に、耐摩耗性や硬度に優れた超硬合金の刃物が使用されています。

金型部

プレス金型、モールド金型、インジェクション金型など、もの作りの基礎となる金型に、超硬合金は欠かせない存在です。

精密耐磨部品

耐久性に優れるため、長寿命の超硬合金は、交換しづらい機械の精密耐摩部品に非常に適しています。

組成や粒子径など、メーカによって特性が異なります

一般的な超硬合金は、主原料に炭化タングステン(WC)、結合的な役割でコバルト(Co)という2種類の材料を混合し、焼結して作る合金です。

ただし製品用途や顧客の目的に合わせ配合も変わります。実際にWCとCoの組成は非常に相性が良く、高硬度と長寿命の特徴を生み出しますが、比較的酸化しやすいため、炭化チタン(TiC)や炭化タンタル(TaC)を追加するなど、各メーカーが目的や要望に応え様々な配合を行っています。

超硬合金の製造方法

1.材種の選定

超硬合金の製造は、鉄などと違い、指定の金属粉末をプレスし焼結する「粉末治金法」を採用しています。主な原料は炭化タングステン(WC)と複炭化物ですが、製品の用途に応じてその他に適切な材料が選定、追加されます。

東海合金工業の超硬合金ブランド「トーカロイ」は様々な用途に合わせた最適な素材を揃えています。お客様の用途をお聞きした上で、トーカロイのラインナップから材種を選定します。

2.焼結後の収縮率の算出

混合した金属粉末を加熱すると、原料粒子間の距離が徐々に近くなり、全体が収縮します。ここで成形体の表面と内部の温度差が生じると、製品の強度に大きく影響するため、昇温速度や最高温度、保持時間を含め、収縮率をあらかじめ計算します。

弊社は長年の経験から再現性の高い収縮率が計算できます。
この技術によりお客様の求める形状に近い素材を提供することができます。

3.材料の配合と混合

目的とする材種に合わせ原料を配合します。超硬合金で銅を加工したい場合、銅とコバルトの相性が悪く凝着し超硬の摩耗が早い事から、コバルトの含有量を減らすなど他材種とは異なる調整を行います。

4.材料の混合とふるい分け

選定された原料は材種により粒の大きさが異なるため、ボールミルなどで粉砕、混ぜ合わせて、粉末粒子をより活性化させます。

その後真空攪拌機で乾燥させ、ふるい機にかけられ厳選されたものが、原料粉末となります。

5.テストピースによる調査

出来上がった原料粉末にてテストピースを作成し、組成が適切に仕上がっているかを確認します。

問題がない場合はプレスし、予備焼結を実施します。

6.基礎形状にプレスし、予備焼結

混合された原料粉末を型に詰めてプレスします。圧力が掛けられた原料粉末(圧粉体)を基礎形状にするため、予備焼結します。

この段階では後に製品形状に加工できるよう、高温処理は用いず、550~900℃の温度範囲で熱処理を行います。

7.製品形状に加工

予備焼結時の成形品の収縮率と、本焼結後の加工取り代を考慮して、お客様のご希望に応じた製品の形状、寸法に加工します。

本焼結後の超硬合金は非常に硬いため、一般的に加工にはダイヤモンド砥石による研削加工、または電極による放電加工のどちらかが用いられます。予備焼結後の製品は加工しやすいように柔らかめに焼結しますが主原料のタングステン比率が多いため加工にはすべてダイヤモンド工具が使用されています。

8.本焼結焼結

あらかじめ算出された収縮率と、予備焼結のデータをもとに、加工品の本焼結を行います。

昇温速度に注意をしながら、焼結炉内を1,300℃~1,500℃の高温まで加熱し、真空状態で焼結します。その後製品に応じた降温時間で冷却していきます。

9.完成

焼結炉から取り出された加工品をまずは目視で、収縮による不具合、破損などないか確認します。

全ての加工品に、アルゴンガスを加圧媒体として熱処理を施し、超硬合金の内部に残留した巣を除去します。

10.出荷前検査

最終段階で外観、形状検査と数量確認をします。図面通りの寸法になっているか確認します。

こちらの検査にて合格したものを出荷いたします。

SDGsへの取り組み

余った材料を再利用することはもちろん、焼結後の製品も粉末に戻して再利用いたします。

東海合金工業は環境に配慮しながら製造を行っています。

素材から加工まで一貫して対応できるのが東海合金工業の強みです

弊社は素材から加工まで一貫して対応可能です。粉末から超硬合金を作るため、お客様のオーダに合わせた形状で製造できます。

超硬合金は硬く、二次加工に時間がかかります。できる限り最終形状に近い形で納品いたします。

複雑な形状でも対応できますので、お気軽にご相談ください。